明治から大正、昭和、そして平成と
国内外を問わずに舌の肥えた食通たちに愛されたとちぎの鱒の極み
日光 中禅寺湖
明治の中頃に発行された外国人向けの旅行案内書「A HANDBOOK FORTRAVELLERS IN JAPAN」では、すでに日光の中禅寺湖畔で鱒釣りが楽しめると紹介されており、
その後も国際色豊かな避暑地である日光を中心に、貿易商トーマス・グラバーなどのほか、駐日外交官や、皇族、政財界の多くの方たちに愛されることで、栃木の鱒はよりポピュラーな魚になっていっていきました。
また、1900年頃に日光金谷ホテルの初代料理長である渡部翔太朗は「日光虹鱒のソテー 金谷風」を考案したほか、食通としても知られた小説家である、池波正太郎は、
その著作の中で「古風な格天井の下の、落ち着いた食堂へ入って、先ず【虹鱒のホテル風】を食べた。外国人と日本人の双方の舌に合わせたソースの味わいは、
まさに、よき時代の日本の洋食である。」と絶賛するなど、栃木の鱒料理は古くから評価されてきました。
体重1キログラムを越えるようなニジマスが夏場にきわめて美味になることは養殖家の中で密かに知られておりました。 しかし、夏を除く一年の大半は産卵の影響で肉質が落ちるため、自身が楽しむ以外に生産は行われてきませんでした。 「ヤシオマス」は栃木県水産試験場が開発したニジマスの改良種です。低温で受精させたニジマスの卵をぬるま湯に短時間浸すことにより、まったく卵を持たないニジマスが生まれたのです。 あの夏場の大きなニジマスの美味を一年間通してお届けすることができるようになりました。 この改良種は公募により県花ヤシオツツジにちなみ「ヤシオマス」と命名されました。(商標登録第5092655)
ヤシオマス開発後も品種改良の研究を重ね続けてきました。その結果、ヤシオマスの脂肪の「質」に着目して、オレイン酸を豊富に含ませ、他の魚にはない独自のおいしさを作る技術を確立しました。 プレミアムヤシオマスは、オレイン酸を豊富に含ませる技術を柱とした7つの基準をクリアしたものにのみ使用できるブランド名です。
オリーブヤシオマスは、α化した配合飼料にオリーブオイルを添加し、飼育した当養殖場オリジナルの高品質のヤシオマスです。
オリーブオイルの主成分はオレイン酸で、脂肪酸の約70-80%比率で含有しています。
オリーブオイルをヤシオマスの餌に添加することにより、ヤシオマスを高オレイン酸含有魚にすることを目指しました。
オレイン酸とは、オリーブオイル・キャノーラ油・ナッツ類に多く含まれている不飽和脂肪酸を代表する脂肪酸で、
善玉コレステロールを下げず、悪玉コレステロールだけ減少させます。そのため、動脈硬化や心臓病、高血圧といった生活習慣病を予防する働きがあると言われております。
高オレイン酸含有したヤシオマスは、食感にも違いが見られます。オレイン酸含有量が高いと、皮下脂肪の融点が低くなり(人の体温で溶ける温度)
滑らかな食感を感じられます。口どけがよくなり、さっぱりとした味わいになっております。グルタミン酸が遊離しやすくなるので、旨味成分が口の中で多く感じることができます。
川魚特有のクセや臭みの成分が抑えられたヤシオマスは、鮮度抜群の状態で出荷されるため、栃木の豊かな自然で育ったマス本来のおいしさを味わうことができる淡水魚です。
大きなヤシオマスは、赤身に適度なサシが入り、脂がくどくならない絶妙なおいしさです。近年フレンチやイタリアンレストランなどからも注目される食材へとなりつつあります。
こうしたヤシオマスは、海のない栃木県の新たな県魚として、県全体としても力を入れており、全国の食卓へお届けできる生産体制と品質向上に努めております。
県及び栃木県養殖漁業組合によるヤシオマス普及活動の一部